引き返すのもクルージング
5人のメンバーで三宅島を目ざし、0545出港
前日までは20kt吹いていたが、出港前に海上保安庁のテレホンサービスで確認すると、神子元島にて南西8ktとのことだった。天気図も北海道に強い低気圧があるものの、太平洋岸は高気圧に覆われる予報だった。
念のために2ポンの艤装で出港した。下田湾口を出ると、8ktと聞いていた通りでフルメインにしようと言おうとしたほどだった。しかし、そうしなくてよかったことが後にわかる。
昨夜までの風の影響でうねりはかなり高い。そうしているうちに次第に風が上がってきた。普段から潮の状態がよくない神子元島に近づくと、うねりが加わって、海況はダイナミックな様相になってきた。あれよあれよという間に風は20ktまで上がってくる。早速ジブを縮帆した。しかし、大きなうねりの中でウエザーヘルムが強まり、メインを3ポンにリーフすることに。
ここからが問題だった。
バウを風にたてるが、まともに大きなうねりに立ち向かう格好になってしまう。3ポンに入れ替えようとする過程でメインシートをリードしていたウインチがキンクしてしまい、また、メインセールのトップがレイジージャックに絡んでしまった。テンションがかかった状態でその解除に悪戦苦闘。
レイジージャックをフリーにして、キンクしたシートをドライバーをねじ込んでようやくセールがフリーになった。苦闘40分
全員スプレーを全身に浴びて寒気が増してくる。私も含めてメンバーの皆さんは疲労困憊。士気も喪失したように見えた。さらに風も上がってきたので、やむなく帰港を決意する。前日は茨城沖でヨットが遭難し、一人死亡したという事故を聞いていたのも影響した。
全員賛成。
0840帰港。
朝開いたばかりの下田ボートのクラブハウスに入って座り込む。奥さんに出していただいたお茶で体を温める。
三宅島どころか、神子元島も遠かった。反省点多数。ベテラン揃いだったが、5名中2名が船酔いになっていた。
考えてみると、今回のメンバーで艇の操船に関してきっちりとしたトレーニングをしているわけでもなかった。平常のクルージングなら、なんともなかっただろう。しかし、今回のような状況下ではなんともならなかった。そんな中で協力して困難な状態から脱出できたのはメンバー全員のおかげ。自身の不明を反省するとともに感謝に耐えない。
そして、夕方には風は32ktまで上がってきた。
(撮る余裕もなく、今回は写真なし)
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