私の艇はティラーで操舵します。ティラーとは艇の方向を変える水中のラダー(舵)の艇上のポストにアタッチされている棒のことです。一方、自動車のハンドルと同じようなステアリングホイールで操船する船もあります。
船は前進も後進もラダーの出ている方向に変針します。ここでややこしいのですが、ティラーは上から見るとラダーの延長線にあるため、変針する際は行きたい方向と逆に押す必要があります。これを間違えると大変なことになります。
この大変なことが1912年に北大西洋で沈没した有名なタイタニック号で起こっていたという新説がでてきました。
タイタニックがほぼ正面に氷山を発見した際に、一等航海士は氷山を右舷にかわそうと思い、「A-hard-Starboard(右舷)!」とTiller orderで叫びました。つまり、行きたい方向の逆に舵を切れと指示したのです。しかしヘルムスマンはRudder orderで受け、ステアリングホイールを右に回したのです。(ジェームズ・キャメロンの映画では左に切っていますが)
結果として、タイタニックはその右舷にて氷山と接触してしまいました。
パニックの際には頭で考えるようにはいかないものです。しかし、タイタニックの問題は変針の方向を指示についてダブルスタンダードが存在していたことに問題があります。帆船が蒸気船に入れ替わる時代で変針のオーダーの仕方が必ずしも統一されていなかったようです。
タイタニックが遭難した理由はこれだけではないので、ヘルムスマンがTiller orderで受けていたとしても避けられなかったかもしれません。
しかし、とっさの時に必要なボキャブラリーはクルーの間で十分に共有化しておくことは必要ですね。船の場合は独特のカタカナ文字が多いので特に注意する必要があります。
New York Times : Author Claims Steering Error Sank the Titanic
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