Strategies for Your Company's Most Valuable Asset
3.11における東京電力と政府の対応は事故への対応の全容が明らかになるとともに厳しい批判にさらされるようになりました。その結果、東京電力は社長が相次いで2名交代し、実質国有化。菅直人首相は退陣に追い込まれました。
決定的瞬間における危機への対応は企業のみならず一国の首相の命運をかける試金石となるのです。
「評判はマネジメントせよ」Reputation Rules のテーマは企業が直面する危機とその対応に基づく評判リスクについての戦略です。
世界中の誰でも知っている様々なケースを提供しています。ケースは重い...
その発生が事実であり、客観的な事実は否定しにくいものです。
ですから、本書に掲載されているケースは似たような状況に立ちあった時になんらかの気づきを与えてくれるかもしれません。
直面している問題を主観的に捉えると、自分の抱えている立場とサンクコスト、さらには「専門家の罠」にはまってしまう可能性が小さくありません。そこで今後のためにDB化しておくことにしました。
予行演習のようなものかもしれません。でも、起こらないで欲しいものです。
企業にとって財務的、法務的リスクは外部に移転できますが、評判リスクだけは移転することができないことがよくわかりました。実はそれは個人も同じです。評判=信用
失ってはならない信用の重みは何にも替えられません。
<危機をチャンスもしくは好ましい評判に変えた事例>
即時に巨額の費用をかけて全世界から商品を回収したことにより、ジョンソン&ジョンソンは世界でもっ
とも信頼に足る企業となりました。それは同社のクレドに立脚した決断だと言われています。
類似のケースでは松下電機の石油ファンヒーターの回収がありました。あの時も回収を最優先して評価を高めたのは記憶に当たらしいところです。タイレノールの事故が教訓になっていたと言われます。一方、教訓を生かせなかったのが、パロマのガス給湯器の不完全燃焼と、三菱自動車のリコール隠しの事件でしょう。タイレノールを知っていてか知らずしてか、どちらだったのでしょう。
サウスウエスト1248便のシカゴ ミッドウェイ空港における事故(2005)
事故当時のサウスウエスト航空の対応と普段からの「評判の保険」が印象的です。
9.11 ニューヨーク ジュリアーニ市長
市長としての業績に行き詰まっていたジュリアーニ市長は9.11の陣頭指揮で高い危機管理能力を評価され、一気に人気を回復しました。
ウォルマート ハリケーンカトリーナへの救難活動(2005)
政府の救援活動が遅れる中で、ウォルマートのトラック群は続々とニューオーリンズに到着。様々な批判につつまれていた企業のイメージを計画的な評判対策塗り替えました。
<危機をきっかけに評判を落としたケース>
インテル ペンティアム浮動少数点除算命令のバグ (1994)
ユーザーの指摘をパスし、しばらく時間が経過した後にあたかも自社が発見したかのように発表し、影響がないと無視しましたが、批判に耐えかねてリコールしました。しかも、そのリコールも請求があったユーザーだけというスタンスで大きく評判を落としました。
メルセデスベンツAクラス ムーステスト横転事故(1997)
機関車トーマス150万個リコール(2007)
中国で生産し、有害な鉛が含まれていることがわかりましたが、製造者の米国RC2は適切な対応を取りませんでした。中国の下請け会社と責任のなすれ着け合いをしていたのです。結果として、RC2社は日本のタカラトミー社に買収されました。
トヨタ 豊田章男社長は 公式招致を受けながら1ヶ月渡米を先延ばししたとされて批判されました。
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