「その中核部分に選択を置いている自由主義経済は人類にかってないほどの生活改善をもたらしてきた。
将来に何が生起しうるかを定義し、代替案の中からある行為を選択しうる能力こそが現代社会の中核に存在すべきものである。」
「リスク」ピーター・バーンスタイン
古代ギリシャのサイコロ遊びからマコービッツのポートフォリオ理論まで人類の歴史をリスク「選択」という切り口で書き上げた一大叙事詩。
自由主義経済は選択の自由により人類を大きく発展させてきた。
人類の発展は”選択”の能力の結果である。
しかし、誰もが常に「選択」できているかが問題である。
誰にでも選択の自由はあるはずだ。
はずだというのは、自由というのは意識されない場合が少なくないからだ。
「選択」するためには選択肢が必要であり、選択肢が一つしかない場合には「選択」とは言わないであろう。
人間誰もが「選択」の技術をもって「選択」してきたかというとそうではない。
「選択」しなくても生き残った者もあれば、「選択」して死んだ者もいたであろう。
「選択」して生き残る、成功する確率を上げて行くことに過去の歴史、データを使うか否かの問題なのである。
人間は不合理な生き物である。成り行き、感情で動きがちな社会的な動物なのだ。
成り行きで生きることは決して悪いことではない。それも一つの人生観。
本書は神を信じて生きることに抵抗した人々の歴史である。しかし、登場する人物がすべて過去から将来を予測して生きたかというと疑わしい。
むしろ、成り行きの人生に対する調味料がリスクマネジメントなのではないか。
迷った場合には勇気を持って一歩踏み出していくしかないか...
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