ヒットとニッチ
シアーズ・ローバックは米国の大手流通業である。シアーズ・ローバックが最初に通販からスタートしたことを初めて知った。
19世紀末に電話帳なみの厚みがあったという20万点にも及ぶ商品カタログを作って米国中に送っていた。
送料込みでも当時の小売り店の半額程度の価格で販売して爆発的に売り上げを伸ばしたというのだ。
当時の米国の農村で販売されている商品数は限られており、都会は遠く、出て行くことも限られていたであろうから、その利便性と価格競争力は革命的なことであったろう。
すでに20世紀初頭にシアーズ・ローバックはロングテールをねらっていたのだ。それは隔離された農村の住民と零細な小売業に加えて交通網の貧弱さがその優越性を大きく高めた結果、大きな発展を遂げた。
その後、自動車の発達により、消費者は店舗におけるショッピングを楽しむようになっていったため、シアーズ・ローバックは通販からGMSにシフトしていく。
その後、長い月日が過ぎていく中で、インターネットが登場し、PCの性能の向上とブロードバンドの普及によって 生産手段が民主化され、流通手段も民主化し、需要と供給をマッチングするフィルタが登場してきた。
このフィルタ:口コミが recommendationとして大きな効果を上げていて、無視できない存在となってきた。
消費者全員が評論家であり、TVに出演しなくても、掲示板、amazon.com、価格.com に書き込むことによって一人一人が万人に対してただで(しかも匿名で)自己主張ができるようになった。
その結果、ヒット商品(ショートヘッド)でなく、ニッチ商品(ロングテール)でも商品の集積が可能で、かつ低コストで販売できるようになったため、ビジネスのベースに乗ってきた。
これにはある程度時間がかかった。理論的には以前から考えられていたことなのだが、システム、環境が整うまでに我慢が必要だった。
よくぞ、amazon.comが今までつぶれなかったものだ。
消費者の選択肢が多い方がよいとする嗜好も一層ロングテールを長くするのを助長した。
デジタル化がすべてのキーとなる。物理的なものを可能な限り削減して在庫コスト、リスクを減少させていく。
ものでなければ制作費も物流コストも驚くほど安いのだ。デジタル化はニューエコノミーの要因の一つ。
出版も全部オンデマンド出版になると本当に本屋は不要となってしまう。
デジタル化できるものはすべてデジタル化してしまう。
今はそんな勢いなのだ。
では、我々にとってのロングテールは何なのか?
プロダクトアウトの発想で顧客のニーズに関係なく推奨商品を販売しているようではロングテールに気づくのは難しいかもしれない。
ショートヘッド=レッドオーシャンで戦うか、ロングテール=ブルーオーシャンを泳ぐか?
そんな見方もできるのではないか?
では、どのテールを狙うのか?それが選択となる。
ジェフ・ペゾフは「本」を選んだ。スティーブン・ジョブズは「音楽」を選んだ。
こんなのはどうだろう
顧客はすべて個別。
人それぞれ。(このフレーズは最近気に入っている。)
すべての二ーズは顧客からするとニッチなのだ。(売り手は自分のカテゴリーにまとめたがる。非常におおくくりに)
とすると、それに応じてすべてをオーダーメイドで提供する。
あらゆる商品でそれを可能にすること。
レゴブロックは提供するが、何を作るかは顧客の自由。
レゴは何を作ろうが買ってくれればいいのだ。
それには提供する商品に高度な汎用性と度量(リスクマネジメント)が必要となる。
それは買い手(普通は売り手が札を入れるのだが)のオーダーを受けるオークションのような形式を踏むことになるのではないだろうか?
そのオーダーを見て売り手が入札する。
e-Bayの逆...
そんな仕組みの選択はおもしろくないだろうか?
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