瓢箪からトルーマン大統領と鳩山総理
今年は民主党が政権を取り、日本は大きく変化する可能性が出てきた。かなり前から二大政党政治の実現を望む声があったが、二大政党であるか否かは別として少なくともあと4年は民主党の時代となった。日本人は消去法で「自民党以外」を選択したといえるだろう。
ハルバースタムの’THE FIFTIES’(米国の1950年代)はフランクリン・ルーズベルト後の民主党トルーマン政権から話が始まる。米国の10年間は盛りだくさんだ。
1948年に大差で再選されたトルーマンであったが、1949年にソ連が原爆実験に成功したことを知り、水爆の開発にGoを出す。さらに、1950年になると朝鮮戦争が勃発し、50年代は政治的には大変なスタートを切った。そもそも、4選された偉大なルーズベルトの後を引き継ぐにあたり、その手腕は疑問視されていた。しかし、トルーマンは第二次世界大戦を終結に導き、マーシャルプランで欧州の復興を支援し、ソ連のベルリン封鎖を大空輸作戦で乗り切った。さらに、朝鮮戦争においては中国との戦争を主張する国民的英雄であるマッカーサーを解任して朝鮮戦争を終結した。そして何より国民生活には「消費生活」という言葉を生むほど豊かなアメリカの礎を築いたとして意外と評価が高い。(日本人にとっては広島、長崎への原爆投下を命じた大統領であるが)
彼の座右の銘は”The back stops here.”「責任は転嫁せず」
ポツダム会談で初対面だったチャーチルの評価も高かったという。トルーマンは望んで副大統領になったのではなかったようだが、その職責を見事に果たしたといえる。
米国では二大政党が政権交代を繰り返している。フランクリン・ルーズベルトは共和党のフヴァーの後を継いで大統領となった。トルーマンの後はアイゼンハワーが共和党の大統領として、その後はケネディが民主党から。ケネディも暗殺され、副大統領であったジョンソンが大統領となっている。共和党のニクソンはウオーターゲート事件で失脚し、副大統領のフォードが継いでいる。大統領の歴史においてナンバー2というのは重要なポストだと言える。
一方、日本では総選挙の直前に民主党の小沢氏が献金疑惑で代表を降りたため鳩山氏が代表を引き継ぎ、結果として総理大臣となった経緯は記憶に新しい。鳩山氏はなにやらルーズベルト急死の際に副大統領であったトルーマンと遠からぬものがあるような気がする。
トルーマンは1948年の再選時にニューディール政策の継続を打ち出してその政策の根幹を明らかにした。その結果としてぶれずに初志を貫徹して大統領としての存在感を残したといえる。
鳩山氏の「友愛政治」はいまだにその実態がまるでわからない。失礼だが、ご自身でもよくわかっていないのではないかと推測してしまう。郵政改革の後退、官僚支配からの脱却と言いながら郵政に旧大蔵事務次官を据え、財政赤字を無視して現金のばらまきで国民の弱化を誘っている。中国や北朝鮮への明確な戦略がないにも関わらず、米国との...と書けば切りがない。この日本をどうしたいのか。
マニュフェストには各論しか書いていない。国家10年の大系のようなものがほしい。それがないと政策の優先順位もつけられないはずだ。
鳩山さんにはトルーマンなみの総理大臣になってほしい。せっかく政権交代と前任の代表の辞任という二つの幸運をつかんだのだから
”The back stops here.”でやってもらいたい。
だが、今の鳩山総理にそれを期待するのは難しいと思う。党内にそれほどの力はないのだ。しかしながら、国民の政治への関心は従来にないほど高まっている。小泉流に国民を味方につける方法は選択できる。問題は何を訴えるかだ。
また、国民は選出した代議士任せにしないで自らあらゆる場で声を上げていくという選択をすべきではないだろうか。このままではこの国は危ない。現在の議院内閣制は国民の意思を反映する機能はないと考えるべきだ。鳩山総理に方針を明確に出させてそれを実行するパワーを与える必要があると思う。
その選択として、たとえば、来年7月の参議院選挙で民主党を大敗させるのだ。福田、麻生内閣と同じ状況に追い込み、今のダッチロールしている政策を自民党と協議させて矯正する。
国民の選択でそれはできるのである。
トルーマンは1948年の大統領選に再選したが、鳩山総理が参議院選挙で過半数を取れるか否か、それはこの半年の政策次第だ。
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