乗客を選ぶバス、選ぶリスク
PLAIN TALK
By Ken Iverson
Nucorは数々の経営書で取り上げられたミニミル(電炉)のメーカーだ。
そのケン・アイバ-ソンの経営手法は様々に語られているが、煎じ詰めると、リスクを取っていくというシンプルな経営方針にあるのではないかと思う。
「馬とロバを同じ馬車につなぐと馬がロバを無理矢理走らせるんだってさ…」
チーム制の成果報酬
チームの足を引っ張る人間はチームに存在することを許されない。
最初にバスに乗せる人を選び、選定を間違った人は途中でも降ろしている。しかも、それをするのはマネージャーではなく、チームのメンバー自身なのである。残酷なルールであるが、バスに乗り続ける社員にとっても、降りざるを得ない社員にとっても長期的に見ればよいことかもしれない。
従業員への動機付けに苦しむ企業が多いが、Nucorにはそのようなコストは不要のようだ。従業員の自律と自治による退職の仕組みにより動機のある従業員しか残らない。できそうでなかなかできない仕組みだ。
ミニミルへの展開。動機付けにコストをかけない経営。あらゆる顧客に一律の価格設定。営業しなくても売れる商品。従業員に任せるリスク等々。アイバ-ソンは従来の経営にはタブーとされてきたことを実行してリスクを取ってきた。
以下のアイバ-ソンのことばはリスクを避けたい私などには痛くしみる。
「私は安全な行き方だけはしたくない。リスクを避けるなどということは、ビジネスにとっては死を意味するからだ。」
「価値あるリスクは冒さなくてはならない。」
「失敗もある。それはゲームの参加料だ。」
“冒険”とは危険を冒すことだ。
アイバーソンのことばからすると、“冒険”をしないことが“冒険”であるように思える。
「価値あるリスクは冒さなくてはならない。」
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