「ほんの少し違うこと」をやるだけでお客様に与える感動は大きい。
先日ある取引先を訪問した際の話。
そちらには玄関があって靴を脱いで上がるスタイルのお店。
靴を脱ぐときに「あっ、しまった!」...靴下のかかとに穴があいていた。「しまった!」というのは穴のあいた靴下をはいていたことについてではない。実はすでに自宅を出る際に気づいていたのだ。バスの時間に間がなかったので、会社に着いてから履き替えようと新品の靴下をコートのポケットに入れて家を出た。それにもかかわらず、その後、履き替えること自体を忘れて取引先を訪問したことについての「あっ、しまった!」
打ち合わせが終わって、玄関で靴をはく際に靴べらをお借りした。その日は紐靴を履いていた。お礼を述べて辞去する。
後ほど、この靴べらをお借りしたことが、恥の上塗りであったことに気づくことになる。
プルデンシャル生命のトップセールスである川田修氏の「かばんはハンカチの上に置きなさい」を読んだのはその晩だ。
川田氏は、客先の応接で鞄を置く際に自分のハンカチをその下に敷くという。なるほど、確かに鞄は地べたに置くこともあるのでその底は靴の底と変わらない。今までそんなことは考えたこともなかった。川田氏は靴べらも客先のものは使わない。携帯用の靴べらを右の胸ポケットに入れているという。
その他様々な普通の営業マンがやらないようなことをお客様目線で徹底的に実行している。改めて教えていただいた点を顧みると、私は穴でもあれば入りたくなる。
川田氏はお客様は商品と一緒に「空気」も買っていると表現している。まさにその「空気」がUSPであり、フリーなのだろう。
「空気」の演出がCSを高める上で重要であることは当然だが、問題はその徹底度合いだ。適当に時々やっているうちはアマチュア。エッジを効かせて常に実行できるのがプロということだ。
私も反省して早速、靴べらを注文した。靴べらの売り上げは上がっているに違いない。
そしてむしろ、「空気」の演出が楽しくなるようにやってみたい。
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