40’sから商品の販売からサービスの提供へ転換していた
クリスマスのシーズンに子どもが母親とともに欲しいものを買ってもらいにデパートにやってくる。Macy'sデパートではサンタクロースがその子どもたちを膝に抱いて欲しいものを聞いてあげる。
ある子は、ホースから水が出る消防車が欲しいとサンタにいう。母親はそんなものは売っていないと否定するが、そのサンタはメモを取り出して、競合のデパートに売っていると子どもに教える。
次の子はスケート靴が欲しいという。サンタは小さい子にはくるぶしまで覆ったスケート靴がいいと薦める。しかし、Macy'sにはおいてない。サンタクロースはまた、そのスケート靴がおいてある競合のデパートを教える。
その様子を見て売り場の主任は激怒して、サンタクロースを解雇しようと息巻く。
さらに、孤児院にいたオランダ人の少女がやってくる。その子はオランダ語でしか会話できないという。しかし、その子はサンタクロースは話せるはずだと主張してやってきた。付き添いの女性は、そのように言い訳をするが、なんと、サンタはオランダ語でその子と会話してしまう。
そうこうしているうちに、サンタを解雇しようとした売り場主任は社長に呼ばれる。社長からしかられると思っていたのだが、他店に顧客を紹介する「戦略」を賞賛される。その理由は、顧客本位で他店を紹介された顧客からのお礼の声が相次いだためだ。
そこで、社長は全店員にサンタと同じように、顧客の希望の商品が同社になければ他店を紹介するように指示する。すごい社長だ。
すると、店員は他店の売り出しのチラシをきれいに閉じて、自店にない他店の商品を顧客に案内するようになった。
Macy'sの評判を聞いて競合のデパートもそのまねを始める。競合同士がお互いに顧客を紹介しあうようになったのだ。顧客のために短期的な利益を放棄することによって、長期的な顧客価値を高める戦略。顧客は追いかけると逃げる。以前は「顧客の囲い込み」という言葉がやっていたが、現在では死語である。顧客は販売者サイドが囲い込めるような相手ではない。
いづれにしても自社で全部はどだい無理なのだ。それでも顧客に満足してもらおうとするのであれば、競合を利用するしかない。販売が目的であれば、自店の商品が売れなければそれでおしまい。他店に紹介するのは自社のシェアが下がるのでとんでもない背信行為と映る。
販売が目的か、顧客とのリレーションを深めることが目的か。この感覚の差が決定的だ。
1947年公開の映画でこれだけの先見性。人の気持ちは昔も今も変わらない。
最後は、自分がサンタクロースになりきれるかどうか!
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