顧客へのダイレクトなニーズのアンケート
顧客の欲しいものと必要なタイミングがわかればそれを提供することはさほど難しいことではないだろう。マーケティングは当該顧客におけるニーズとそのタイミングの把握に尽きるといえよう。
飲食業はそのタイミングが比較的定期的で集中している。一般的には人は一日三食であり、昼食であれば、日本では12時から13時の間が最も集中している。料理飲食業はその時間に顧客の購買タイミングが集中することは予期できる。入店する顧客がいれば、それはランチを欲しているということだ。また、商う商品の看板を外に出しておけばニーズもほぼ特定できる。マクドナルドのレジに並んでいる顧客が牛丼を注文することはないだろう。
このように商品を店舗にならべて顧客の来店を待つことで、少なくとも入店する顧客のニーズとタイミングは把握できる。そして、店で待つことによって売り手は「ご注文は?」と聞く権利を得るのだ。ここが大事な点だ。「個」客に欲しいものを堂々と店側が聞ける環境があるということが。最初の言葉をクロージングにすることができるのだ。そこで何を食べようかと1時間も1週間も迷ってもらったら商売にならないからだ。食べる気のない人に説得している時間もない。
これを、ランチタイムにマクドナルドのかわいい女子高生のバイトの店員が住宅地で飛び込み営業をして「ご注文は?」とか「カリフォルニアバーガーのセットはいかがですか?」と聞いても販売できる確率は店頭の数分の一にしかならないだろう。ニーズが絞り込めていないので、効率が低下する。
こう考えると、リアルの店舗、Webの店舗どちらにしても魅力的な商品・サービスを並べて顧客にアピールし、来店を促すことはどんな商売においても販売効率を上げるには必要な要素だ。店舗を構えて顧客を待つのは戦争に置いて陣地で敵を待つのと似ている。自分の陣地で戦うだけでも十二分に有利と言える。トーチカで待ち構えてすでに標準を合わせた機関銃の引き金を引くだけでいいのだ。
カール・スウェルはどんなサービスをすればよいのか「個」客に聞けと書いている。売り手が勝手に推定するなと。その手段として簡単なアンケートの使用を推奨している。
スウェルはアメリカのダラスでキャデラックを中心とする自動車販売で財をなした。LTV(Lifetime Value)顧客の生涯価値を51万ドルと算定して継続的な取引をするためにサービスを追求したという。
はじめて知ったが、修理中の自動車に対して代車のサービスを始めたのもスウェルであったし、土日営業を1970年代において始めたのもスウェルだという。今では当たり前のサービスが当たり前ではなかったのだ。これを始めただけでも画期的なことであったろう。
そのスウェルのすすめるアンケートであるが、それなりのリレーションがなければ難しいかもしれない。しかし、私はアンケート取得のパーミッションを得るところからリレーションを築けるのではないかと思っている。アンケートを取るという行為自体が自信の表明であり、品質に配慮しているように見えるからだ。最初のアンケートは下記の4項目ではどうだろうか。商品の購入後に。A4用紙1枚で充分だと思う。質問の目的を付記する。
1.自分を選択していただいた理由
質問への回答は回答者に考えることを要求する。結果としてセールスマンへの認知度を深める。名前を覚えてもらう。回答者の購入の選択は否定しにくいことから好意的な選択の理由が期待できる。さらに好意的な選択の理由が一旦記入されると一貫性の原則が回って契約の維持率、リピート率の向上が期待できる。
2.気にかかること、心配なこと、片付けたいこと(列挙して○をしてもらう)
新たなニーズの把握による他の商品の販売
3.今後情報提供をすることについてのパーミッション(Yes/No)
今後提供する情報の効果UP。送付を希望した以上見ざるを得ない。
4.メールアドレス
情報のデリバリーの費用、時間の削減
このアンケートから当該「個」客とのリレーションが始まる。そして、パーミッションを得た上の継続的な情報提供によって「個」客のニーズとタイミングをつかまえるのだ。
アンケートという手段の選択は顧客のニーズとタイミングを把握する最も簡単な方法であるかもしれない。
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