2011年1月、サッカーアジアカップで日本が優勝しました。また、昨年12月にははやぶさが小惑星イトカワから帰ってきました。さらに、先日こうのとりがISSへのランデブーに成功してスペースシャトル引退後の補給の役割を見事に果たしました。
アジアで優勝するとか、広い宇宙で長期にわたる航海を成功させるのは簡単なことではありません。
それに対して、簡単そうに見えることは政治のように(財源に合わせた予算を作ることなど)意外とうまく行きません。これは様々な会社内の上下左右。町内会、PTAあらゆる組織に共通する問題かもれません。人間関係、組織の永遠の課題です。
今日は、個人的に星に対する関心が湧いてきたのに加え、リスクマネジメントのケースとしてアポロ13を見直しました。
月面に着陸することを目的としたアポロ13号は発射直後の事故によって地球に帰還出来るか否かの瀬戸際に立たされました。ご存じのとおり、結果としては飛行クルーとNASAのメンバーの総力で生還することができました。改めてその様子を見てみて、上記の疑問の解のようなものに行き当たったような気がしました。
気づきは映画の最後にありました。メンバーのその後の人生が紹介されていたのです。聞いていると、飛行クルーから始まって、NASAのメンバーの多くはNASAを出て新たな仕事についていることが紹介されていました。
転職でキャリアアップをするのが米国流といいますが、正確に言うと、転職でキャリアをあげるのではなくて、違う会社において、異なる目的のプロジェクトを実行することで成長して行っているとみるのが正当ではないでしょうか。米国は大統領が替わると各省庁の職員も大幅に入れ替わるそうです。それは、やりたい政策が違うからかもしれません。
プロジェクトの目的を達成するためにメンバーが集まり、達成すると解散する。この反対は日本流ですが、組織のメンバーはいつまでも替わらないで、長い月日の中で何をするか(目的)を考えているということになります。
今の国会議員、政党を見てみるとよくわかります。この国をどうしたいか、党として何を実現するのかというグランドデザインを持ち合わせない政治家の行動に方向性はありません。そして、パワーを発散する方向がぶれるのです。
サッカーの日本代表はいい例です。普段は異なるチームで働き、大会のある時だけ日本を優勝させるために集まって来ます。日本を優勝させるという目的に迷いがありません。
想像ですが、おそらく実績を上げ続けているJAXAのメンバーも似たような構成ではないでしょうか。
長く同じ組織に存在し、長く同じ仕事をすることによって専門性は高まります。しかし、目的を見失いがちで、なおかつサンクコストが高くなり、時機を得た判断が困難になります。
組織における人事異動はまさにそのようなデメリットを解消する手段のはずなのですが、往々にして社名、省庁名、部署名がプロジェクト組織であることの認識を妨げている場合が多いのでしょう。
このように考えると、個人、組織のいづれもが慣性の法則に縛られた組織ありきということではなく、目的の明確なプロジェクトを意識した方がよさそうです。結果として、目的が達成できればすぐ解散で、達成できなければ諦めるか、達成するまでやり続けるかとなります。
常備軍という言い方がありますが、それを民間に置き換えると常備組織となります。歴史を見ると、常備軍が強いかというと必ずしもそうではありません。常備組織はなくなりませんが、プロジェクト的要素を多用して揺らぎと変化を常に発生させておくべきでしょう。
そうすると、定期人事異動という考え方はなくなります。
考え方一つですが、この視点の違いは大きいと思います。
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